神威異伝
「十夜、其処に座れ」
二人だけになり、賢雄が十夜に言った。
それに従い、十夜は先程まで自分が座っていた座布団の上にあぐらをかく。
「んで、話って何なんだ?大爺」
十夜が尋ねると、賢雄が少し息を吐いた。
「……お主、三日前に言っておったな?自分の刀の名を、漆梁と…。記憶が戻っておるのか?」
十夜が驚いたように、目を見開いた。
「…大爺。よく、憶えてたなぁ」
「自慢ではないが、儂は物覚えが良いんでな。さて…話して貰おうかの」
賢雄が少し目を細め、そう呟く。
十夜は目を閉じ、少しの間黙っていたが…ゆっくりと目を開き、口を開いた。