恋心《短編集》
昨日の夜。


ナオヤがこの部屋に来た。


二週間振りの訪れを、私は喜ぶことができなかった。


彼が、何を言いに来るのか察しがついていたから。


ナオヤは、私の入れたコーヒーに口をつけることなく、用件を話し出した。


わかっていたけど…。


私は彼の目を見られずに、ただひたすらコーヒーに入れた砂糖をクルクルと回していた。


ナオヤがいなくなり、どうしていいかわからずに、とりあえず飲んだコーヒーの味。


すごく甘くて…ぬるくて…。


そして、涙と混ざってしょっぱかった。


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