恋心《短編集》
「なんで?」


「は?」


「なんでダメなの?」


「なんでって…」


言葉を濁す浩一に、私はもう一度聞いた。



「なんで?」


「………汗臭いから」


「そんなことないよ。安心する…」


「…変な奴」



私から浩一の顔は見えなかったけど、多分、真っ赤になっているだろう。


浩一の背中から伝わる熱が、そのことを示していた。


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