恋心《短編集》
そのまま浩一は無言になってしまい、ひんやりとした夜の空気が私の鼻をくすぐった。


「…クシュン!」


「あはは!派手なくしゃみ。鼻水たらすなよ」


「うん」



浩一は笑ったが、少し息が切れているようだ。


店の前から私をずっと背負っているのだから、本当はキツイに違いない。


それなのに、浩一は私に降りろとは言わなかった。




こうやって…。


こうやって浩一は、いつも私のそばにいてくれた。


幼い頃からずっと。



< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop