10年目の告白~愛バージョン
橋の両サイドは当然、海が広がっている。

缶チューハイで乾杯する。
昼間にも言っていたが

「ほんとに海なんだな~。」

彼は景色を眺める。

きっと
家族と子供を連れてくる時とは
違う景色に映ったんだと思う。

もちろん私にも
全く知らない場所へ
二人だけの世界へ
行ってきた感覚があったし

でも、その夢の様な時間から
少しずつ現実へ引き戻されていく様だった。

駅までの道のりは
すっかり陽が落ちて真っ暗で
帰途につく人たちに囲まれていても
つないだ手は離さずにいられた。

駅まで着くと
二人とも足が止まる。
どちらともなく。
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