10年目の告白~愛バージョン
もう一つ目の乗り換え駅。
他線の乗り入れや
少し繁華街なだけあって、
その駅はごった返していた。

駅ビルの最上階にある
ラウンジまでエレベーターに乗る。

人の目を気にして
手はつなげない。

エレベーターが速度を増して上階を示すたびに
私に淋しさが募る。


“いよいよ、ここで今日の打ち上げだ。”


しゃれた作りのレストランバーで
待ち受けていたかの様な店員に通された席は
広大な夜景の街を見渡せる窓に向かったカウンター席だった。

彼はオススメのパスタとドリンクを注文したあと

「オマエ何飲むの?」

そう言って促したが
私はメニューなど見なくても、
自分の前に置いて欲しい
カクテルが決まっていた。
「チャイナブルーください」

それぞれのドリンクが運ばれ、二人で何度目かの
今日はこれで最後になるだろう“カンパイ”をした。

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