10年目の告白~愛バージョン
食事が用意されて
小皿に分けて取る。

彼がやるよりも私が取り分けるのは当たり前だったが
きっと彼は
自分の家でもこう、されている。

今はその辺を
追求したくない気持ちが
私の口をふさいでくれた。

こんな事くらい
私がやってあげる。


ここのパスタうまいんだ、と彼は満足そうに
次々と口へ運ぶ。

本当においしかった。

私の作ったパスタも
おいしいよ。

のどまで出かかった言葉は
チャイナブルーと一緒に飲み込んだ。

薄く透き通った濃い水色が
過ぎ去ってしまった
水族館を思い出させる。

それを私は分かっていた。

確かに今日二人で
水族館へ行った。

もし私が小学生だったら
夏休みの絵日記には
こんな水色を使って今日の一日を描くだろう。


最後ひと口分のパスタを
彼の小皿に乗せてあげる。

「そろそろ行こっか」
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