10年目の告白~愛バージョン
2年目
シーサイドラインに乗ってみたい、と言ったのは
彼だったから

私はありったけの頭の中の引き出しを開いて
彼にメールした。

「明日、八景島で待ち合わせしよう」

彼の都合を一番に考え、
午後の二時半に約束した。
いざという時には今までも
かなりの確立で
私は晴れ女だというプライドを持っている。

前向きさも手伝って
雨でも水族館で時間を費やせる八景島を選んだ。

家族での小旅行や
恋人と幾度か訪れた経験が
こんな風に役立つなんて
彼に少しだけ後ろめたい様な気持ちも湧いたが

彼は私の事をとがめる事はなく、

ただ早く大事な明日のために眠りに就くんだ、というメールだけを寄越した。


翌朝は、みごと快晴。

梅雨明けのまだしていない偶然に私たちの休みの合った平日の
私たち以外にはきっと
いつも通りの暑い1日なだけだっただろうが

それはそれはカラッと晴れた
明るい夏日だった。



私は身仕度を整え、昼過ぎに自宅を出発してから
いくつめかの乗り換え電車の中で

こっそり左手の指輪を外した。



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