10年目の告白~愛バージョン
9年目
“もう一件ひらめいた?”

私は自分の想像に半分喜び
ついさっき今日の終わりを覚悟してあきらめた気持ちが
半分残っていた。


分からないまま歩いていると
路地を入り
ラブホテルの前にいた。

最後の店を出てから
彼は無言だったから
“やだ?”
という顔をされても
“なにが?”
という顔で返すしかなかった。

イヤなワケがない。
断るワケがない。



今なら思う。
もしかしたら彼は
照れていたのかもしれない。

帰らないわけには行かない。
彼も同じ。

でもまだ帰りたくない。

彼も同じ。

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