10年目の告白~愛バージョン
10年目
薄暗い部屋は
二人の思いのつまった
今日という1日の締めくくりにしては
いささか古びた作りだったが、私には場所など全く関係なかった。
純粋に彼と、
私との時間を
もう少し延ばしてもいいんだ、という
素直でいられた頃の
少女時代の様な感激が
沸き上がった不思議さに心地よさを覚えたし、
わずらわしさの纏(まとい)が少しでも消え失せる
彼との秘かな夜が
叶えられることに
今だけは自惚れようと思った。
部屋に落ち着いても
初めて来たなら話は別だが
照れ臭さからか
彼とは長い時間語り合った。
何を話していたかは
ほとんど記憶にない。
今日ここに来るまでの
1日のデートが
まるで夢の様だった。
遠い昔の事の様だ。
その時
私の心に沸き上がったのは
今が大事だ
という気持ち。
楽しい時間を用意してくれてありがとう。
本当に二人だけになれる
この場所に
連れて来てくれてありがとう。
「私のこと。ちゃんと覚えててね」
今日が終わっても。
私達にはそれぞれ帰らなきゃいけない場所がある。
私は涙をぬぐい、
ひと呼吸してから彼の上に股がった。
彼を抱いたまま私は
今日だけは
現実に戻りたくない、
と思った。
長い長い二人の道のりの間に
それでも目をつぶらなきゃいけない事が有り過ぎた。
でもきっと。
私だけじゃない。
彼も同じ。
「あなた以外の他人の気持ちはどうでもいい…と思う時がある。
あなたが好きです」
私は初めて告白した。
~完~
二人の思いのつまった
今日という1日の締めくくりにしては
いささか古びた作りだったが、私には場所など全く関係なかった。
純粋に彼と、
私との時間を
もう少し延ばしてもいいんだ、という
素直でいられた頃の
少女時代の様な感激が
沸き上がった不思議さに心地よさを覚えたし、
わずらわしさの纏(まとい)が少しでも消え失せる
彼との秘かな夜が
叶えられることに
今だけは自惚れようと思った。
部屋に落ち着いても
初めて来たなら話は別だが
照れ臭さからか
彼とは長い時間語り合った。
何を話していたかは
ほとんど記憶にない。
今日ここに来るまでの
1日のデートが
まるで夢の様だった。
遠い昔の事の様だ。
その時
私の心に沸き上がったのは
今が大事だ
という気持ち。
楽しい時間を用意してくれてありがとう。
本当に二人だけになれる
この場所に
連れて来てくれてありがとう。
「私のこと。ちゃんと覚えててね」
今日が終わっても。
私達にはそれぞれ帰らなきゃいけない場所がある。
私は涙をぬぐい、
ひと呼吸してから彼の上に股がった。
彼を抱いたまま私は
今日だけは
現実に戻りたくない、
と思った。
長い長い二人の道のりの間に
それでも目をつぶらなきゃいけない事が有り過ぎた。
でもきっと。
私だけじゃない。
彼も同じ。
「あなた以外の他人の気持ちはどうでもいい…と思う時がある。
あなたが好きです」
私は初めて告白した。
~完~