10年目の告白~愛バージョン
今日は
とても近い場所に
彼を感じる。

彼が何を言っても
叶えてあげたいと思えたし
何よりも
飾らない私でいたいな、
そう思えた。

私と彼が知り合って
もう10年は過ぎただろうか。
もう10年たつのか。


20代の初め、
私たちはお互いを意識しながら出会ったのに

好きな気持ちは変わらないまま
今になってしまった。

別々の相手と結婚式をあげた。

この10年を変えようといつ思っても、もう、どうにもならなかった。


シーサイドラインは
八景島で私たちを降ろすと
また日常を乗せて発車していった。

彼にとっては私と乗った今日が
きっと初めてだったに違いないシーサイドライン。

ほんの数分の彼の望みは
生涯、忘れられないものとなったんだろうか。

そうだったらいいな。




「暑いな~ビール飲もうぜ」

彼と私は
今までにも幾度となくお酒を飲む仲だ。

会話が途切れたことは
まったく一度もないし
興味のある話題が
お互いに相手から
どんどん湧いてくる。

そんな仲が楽しい。

私は八景島へ渡る橋に、
今日あと半日の希望を託して
まっすぐ歩いた。


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