恋愛スキル
「ごめんなさい……よそ見してたので……」
波風を立てたくない私は、早くここを立ち去りたくて、慌てて散らばった本を拾おうと、身をのりだす。
痛ッ……!!
足、挫いちゃったみたい……。
どうしよう……
早くここから、立ち去りたいのに……!!
「下級生には優しく。それが、先輩ってもんじゃないのか?」
突然現れた後ろ姿に、彼女達は面白くないと言った様子で、ダラダラと去っていった。
「大丈夫?」
そして、何気なく私の目の前に、大きな手が差し出された。