恋愛スキル
いつものように自転車にまたがり、清々しい風を切り走り出すと、途中一人ジャージ姿で歩く長澤を見つけた。
「よ!こんな早くから部活か?」
「はい。試合も近いんで。てか……先生は昨日行ったんですか?病院」
「ああ。随分遅くなっちゃったけどな。顔色良くて安心したよ」
俺と目を合わせず、たんたんと歩いていた長澤は、急に俺の方を振り向くと、
「俺。昨日言った事、嘘じゃないですから」
と、真剣な瞳を俺に向ける。
やっぱりか。
長澤は松浦の事が好きなんだな。
彼女が唯一、友達と呼べる奴だと思っていたけど……
少なくとも、そう思っていたのは俺だけだったようだ。