恋愛スキル
やっぱ美術室だよな?
俺は美術室のドアを開け中を見渡す。
明かりがついているのに……誰もいねぇ。
準備室のドアが開いている事に気付いた俺は、美術室を突っ切り、準備室を覗くが……。
浅利の荷物はあるのに、ここにもいねぇ。
便所にでも行ってんのか?
俺は仕方なく浅利を待とうと椅子にドカッと座り、ふと、デスクに置かれた小さなカレンダーに目を向ける。
赤マルがされた日にちを見ると、あの日の出来事が鮮明に思い出してくる。
まさか、春瀬と浅利が……。
別れた事も知らなければ、付き合っていた事さえ気付かなかった。
理想の彼女は春瀬だと言っている圭が聞いたら、すげー凹むだろうな。
確かに美人だし、金持ちのお嬢様って感じの春瀬は、男子生徒は勿論、女子達からも憧れの眼差しを受けている。
彼氏がいたっておかしくねぇ。
まぁ……俺にとっちゃどーでもいい話だけど。
そんな事を暇に任せて考えていると、
トントン。
「浅利くん?」
ドアが開いて俺は慌てて、椅子から飛び降りた。