恋愛スキル


保健室を駆け出し校庭に飛び出ると、俺はそっとしゃがみこみ砂を思い切り掴んだ。


拳の中の砂が俺の怒りを吸収してくれるように、パラパラと指の隙間からこぼれ落ちていく。


くそ……!!


これから俺……緋乃にどんな顔して会えってんだよ。


きっと、一番傷つく姿を俺は見なければならなくなる。



言えねぇ……



今も病気と戦ってるアイツに、俺言えねぇよ……!!



「長澤!!」


俺は、聞きたくもないその声に、振り返る。


「言いましたよね?緋乃を傷つけたら、俺はあんたを許さねぇって。」


浅利は視線を逸らす事なく、真っ直ぐに俺を見つめる。




< 157 / 168 >

この作品をシェア

pagetop