恋愛スキル
保健室を駆け出し校庭に飛び出ると、俺はそっとしゃがみこみ砂を思い切り掴んだ。
拳の中の砂が俺の怒りを吸収してくれるように、パラパラと指の隙間からこぼれ落ちていく。
くそ……!!
これから俺……緋乃にどんな顔して会えってんだよ。
きっと、一番傷つく姿を俺は見なければならなくなる。
言えねぇ……
今も病気と戦ってるアイツに、俺言えねぇよ……!!
「長澤!!」
俺は、聞きたくもないその声に、振り返る。
「言いましたよね?緋乃を傷つけたら、俺はあんたを許さねぇって。」
浅利は視線を逸らす事なく、真っ直ぐに俺を見つめる。