恋愛スキル
*°.・。
「なんか久しぶりだよなぁ、緋乃とこうして登校すんの」
私に歩幅を合わせ隣を歩く大輔が、声を弾ませる。
二学期に入り、私は少し無理を言って、退院させて貰った。
その為に必要な検査やテストを連日こなして、問題がなかった私に、担当の先生はしぶしぶ承諾してくれた。
まだ安心は出来ないから、外来で時々診察を受けるという、条件付きで。
心臓の精密検査は金額がバカ高い。
それをいくつ受けても、医師の話は「今のところは問題はないようです」と、決まって、ハッキリしない言葉を口にしてた。
そんな事だから、お母さんは痺れをきらせて退院を急がせたのだ。
まぁ……ちょうど良かったかも。
発作の痛みも回数も、激変したし、薬も無駄に沢山貰った。
ポケットの薬を確認すると、何度も体調を気にしてくる大輔に、「薬あるから」と、笑って答えた。