恋愛スキル
圭は小学校からの親友で、俺と緋乃の事は良く知っている。
頼れるイイ奴だ。
俺が黙っていると、圭がいきなり立ち上がった。
「先生!長澤具合悪いんで今日は帰っていいっすか?」
「お、おい!」
何を言い出すのかと困惑している俺に、顧問がしぶしぶOKのサインを出す。
圭はニッと笑うと、俺を強引に廊下へ連れ出した。
「行って来いよ、松浦の事だろ?」
そう言うと、立ち尽くす俺の背中をドンと押した。
どうして、こいつには何でもわかってしまうんだろう。
俺の心をそっと読んで、さり気なく手を貸してくれる。
本当……言葉を交わさなくてもわかり合えるダチなんて、そういないよな。
「圭!ありがとな!」
俺はジャージのまま走り出した。
勿論。
緋乃の所へ。