恋愛スキル
今日は俺と緋乃が日直だった。
日誌は緋乃に任せて、俺は号令を担当した。
一日の感想を、緋乃は“特になし"といつも通り記入した。
相変わらず一匹狼少女だし、それしか言う事ないんだろうけど……。
俺はその日誌を覗き込んで、
「じゃあさ、俺の事でも書いてみ」
と、シャーペンの上で“特になし"を叩いて見せた。
緋乃は、え~と言わんばかりの顔を俺に向けると、また日誌に目線を戻し少し考えた後、スラスラと書き始めた。
ん~と……なになに……。
“長澤くんが国語の時間寝ていて先生に怒られました"……!?
「まぁ……間違っちゃいないけどよぉ~、俺って書ける要素これしかないのかよ?」
俺がぶーたれて見せると、緋乃はまぁまぁと俺をなだめて、二人で職員室に向かった。