恋愛スキル
俺の知らない二人-大輔
あっという間に日々は過ぎ、ついに夏休みに突入した。
美術部の登校日。
俺は部活もなく珍しく暇だったから、緋乃に同行する事にした。
緋乃は嫌がっていたけど。
部活ではいつもジャージ登校だったから、久しぶりのシャツに腕を通すと、緋乃と他愛も無い会話をしながら登校した。
美術室に入ると、数人の生徒が作業を開始していた。
俺が、物珍しそうに見て回ると、準備をしている緋乃は顔を真っ赤にして、
「ちょっと。邪魔しないでよね!」
と小声で叫んだ。
「はいはい」
俺は右手を軽くあげて見せると、緋乃は不安げな表情で作業を始めた。
スケッチブックに何やら描いていて、俺がそっと覗くと、緋乃はチラッと俺を見て、落ち着かない様子でまたスケッチブックに視線を戻した。
「俺が気になる?」
俺がニヤっとして言うと、緋乃は「全然!!」と怒った顔をした。それが面白くて俺は笑いを必死でこらえる。
「あれ?長澤?」