恋愛スキル
選択…-緋乃
「…ごめん…大輔、正直混乱してて……でも私…」
「わかってる」
私の言葉に被さるように大輔が言った。
「浅利の事が好きなんだろ?」
その言葉に思わず顔をあげると、大輔はちゃかす事もなく、ただ真っ直ぐな瞳で私を見つめている。
「…いいんだ。俺の気持ち知って貰えただけで。だから返事はいらない」
大輔はそう言い終えると「行くか」と、鞄を拾いあげる。
私がこくりと頷き返すと、大輔も頷き、私達は静かに歩き出した。
なんとも言えない静かな空気が、私達の間を通り抜けて、二つの足音だけがやけに響いて感じた。
大輔の顔がまともに見れなくて…
私は彼の数歩後ろを、俯きながら歩いた。