恋愛スキル
「ただいま…」
私がリビングに行くと、ソファーでテレビを見ていたお母さんは、私に気付き、こちらを振り返る。
と、同時に、はぁ~と深い溜め息を付くと、再度テレビの画面に視線を戻した。
「あんた、こんな時間まで何してたの!?」
そうテレビを見ながら言った。
え…?
ふと時計を見ると、もうすぐ21時をさしていた。
知らなかった。
こんなにも時間が過ぎてたなんて…。
私はお母さんから感じるピリピリした空気を消し去りたくて、
「ごめんなさい。気が付かなくて…」
とその後ろ姿に言った。
「お母さんが言ってるのはそうじゃない。何してたのかって聞いてるの」
そう私に目を向けるその顔には、深いシワが眉間に刻まれている。
「大輔と出掛けてた…。試合を見てから、その後」
「大輔くんとこんな時間までいたの!?」
お母さんの眉間のシワは更に濃くなる。