恋愛スキル
「あの子はそうは思ってないわよ」
春瀬の言葉に、小さく笑う浅利の声が聞こえた。
「そんな事はないだろ?家庭が家庭だから、俺の事を慕ってくれてる、ただそれだけだよ。
…淘子にはわからないかもしれないけど…
居場所がないって本当に辛い事だよ…」
「そう?私にはわからないと?
……もういいわ」
その言葉と同時に近づいて来る足音に、俺はゆっくりと壁づたいに後退る。
「私は郁斗が心配なだけよ。
あの子にのめり込んでくあなたが…
いずれあなた自身を苦しめる事になるの…」
「ああ、肝に銘じておくよ…」