木蓮の涙
そぉこれは人間にもまだ

我らの姿が見えていた

遥か昔の話しぞ


**************


「燈夜様~」
(とうや)

湖を散歩する私の姿を見つけ
嬉しそうに駆けようってきた

「木蓮(もくれん)
 そんなに走っては危ない

 お前はすぐに転んで
 泣くじゃないか」
 
「だってせっかく
 燈夜様を見つけたのに
 のんびり歩いてなどいれません」

ニコリと笑う姿が愛おしくて
ついつい頭で撫でてしまう
 
「ヘヘヘェッ
 私、燈夜様が大好き」

何でも思った事を心のままに
口にする汚れなき心を持った


「幼き人間の子」

 







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