木蓮の涙
「木蓮?そこに居るの」

私を呼ぶ春蘭の声が聞こえた

「春蘭ここよ」

大きく手を振った

燈夜が居ることに気付くと
春蘭は恥ずかしそうに下を向いて

燈夜に頭を下げた

「また燈夜様の
 邪魔をしてたのね」

春蘭は私をキッと睨んだ

「ずるいわ木蓮
 いつも燈夜様を独り占めして」

「へへへぇ
 だって私が春蘭に敵うのは
 燈夜様を見つける事ぐらいだもの」

そんな二人の会話をクスクス
笑いながら燈夜は聞いていた


見た目には区別がつかないほど
二人は似ていたが性格は正反対だった

責任感が強く何事も手の
抜けない春蘭に対し

自由気ままでどこか抜けている木蓮


次期鬼塚家当主は春蘭だろうと
密かに家臣達に噂されるほど

二人の出来には差があった










 


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