木蓮の涙
「ほら、もう行くわよ
 まだ今日の分の課題が終わって
 ないんだから」

「ううぅぅぅ
 せっかく燈夜様を捕まえたのに
 
 今日は一緒に過ごして
 下さるって仰ったのよ
 
 課題なんかより大切だわ・・・」

木蓮は燈夜に助けを求める
様に見つめた

「そんな我儘ダメよ
 燈夜様はお疲れなんだから」

行くわよと手を引く春蘭に
必死に抵抗しながら

燈夜の着物の裾を掴んだ

「わかったよ木蓮そんな
 顔しないで約束は守るから
 
 でも課題はしっかり
 やらないとね」

「・・はい」

よしよしと頭を撫でながら

「僕も手伝うから」

と優しく笑った

「良いだろ春蘭?」

「でもそんなご迷惑
 おかけできません」

とは言いながらも本当は
春蘭だって燈夜と一緒に過ごしたい
我慢しても自然と顔がほころぶ

そんなことを全て知って
燈夜は話す


そうそしていつでも優しく
二人の手を取った

燈夜にしてみれば

二人とも同じぐらい

愛しかった
 





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