木蓮の涙
この夢を見た朝は切なさに
締め付けられ一日何もする気が起きない

藤に小言を言われても
どうしようもない…

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「いったい何なんだ
 あ~胸がムカムカする」

いっこうに起きあがる気配のない
家主に藤はイライラしていた

「何か変な物でも
 召されましたか?」

「相変わらず藤の言葉には
 ユーモアがないね~」

燈夜はからかう様に言った

「・・・・」

背中を向けていても
伝わる藤の怒りのオーラに

さすがの燈夜もこれ以上は
まずいと感じ

「あ~ちょっと息抜き…」

慌てて部屋を抜け出した

そう、こんな時はあの場所が
一番落ち着く


すでに足はそこへと向かっていた




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