木蓮の涙
「さっ、今日は釣りをしに
まいりましょう」
「おいっ藤、こんなに毎日毎日
遊んでいて大丈夫なのか?
お前、毎晩じじぃー達に
呼ばれてるんだろ??」
「私の事など気にする必要は
ございません、それにこれは
遊びではございません・・・
社会見学です」
「―――それでも」
燈夜は下唇をかみ締め下を向いた
「燈夜様、私は思うのです
人の気持ちを知ることなく
書物や頭の固い大人の意見ばかり
を詰め込まれて育った者が
誰かの心を動かせるだろうかと」
藤の言葉に燈夜はハッとし顔を上げた
「人の気持ちを真っ先に考える
貴方だからこそ知って欲しいのです
色んな事を体験して欲しい
―――貴方なら・・・変えられる
そう私は確信しております
それに遊びでも何でも貴方様には
他の者に負けてもらっては困ります」
そう言って横目で燈夜を見ると
悪代官顔負けの微笑を浮かべた
「ブッハハハハハッ―――
すげぇー悪い顔だぞ藤・・・・
ははははははあ
―――はっ、はっクッゥ
クックッゥ・・・・」
「どう、なさいました」
目に前髪がかかり表情が見えない
ポタ―――ポタ――ポタ
足元に落ちる大きな雫
「藤、お前に出会えて良かった」
その言葉に藤は跪き頭を垂れる
「どこまでも、貴方様と共に」
この時私は誓ったこの方の見えない
楯になり続ける事を