木蓮の涙
不思議な事に恐怖心は
全くなかった

それどころか木蓮の花の香りが
私の心を落ち着かせた



服が水を吸ってどんどん重くなる
底の泥に足をとられ

バランスを崩した



プクプクプクッ

プクプクッ


体が水の中へと沈んでいく



意識が朦朧としていく中で

誰かに呼ばれた

―――そんな気がした





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