imitation love
次の日は誰もが気合いを入れていた。


「なんでも今日は特別な方が来るから。」と真美ちゃん達は言っていた。


「今日、お前はフロアには出るなよ。」


千里さんや翔也さんにも念を押して言われた事。理由は分かっていた。だからこそ私はずっと溜め息しか出なくなり、次第に不安と緊張が押し寄せてくる。


「博子ちゃん。」


私は翔也さんに言われ、VIPルームという滅多に使わない部屋で純さんを待っていた。翔也さんも「途中まで一緒にいる」と言っていた。


コンコンとドアを叩く音がした。千里さんだろう。


千里さんの声で「連れてきたよ。」という声がした。


「いいよ。」穏やかな声で翔也さんが答えた。


そこには出会った時と同じ黒いライダースを羽織り、真っ赤な唇にサングラス。


「博子。噂の彼女」


「失礼な奴。噂にはなってないでしょ?」


160センチ代後半だろうか。赤紫

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