imitation love
午前5時になればお店も閉店して、みんなはお店の上の部屋に戻っていく。私もそのうちの1人で、今日はとても疲れ切っていた。特に何かしたという訳でもないのに疲れていた。


だんだん太陽は昇っていき、この商売とは正反対に出勤する人で通りはあふれかえっていた。


俺は着替えると疲れをとるためにすぐに寝てしまった。


しかし午後1時に私は目が覚めてしまった。携帯にはものすごい着信。多分会社の社長とかそんなものなんだろう。


テレビをつけてぼんやりしていると部屋に次子(つぎこ)がやってきた。


「ねぇ、博ネエ。今日お店休みだし私「USUALL」のチケット取ったんですよ。だから一緒に行きません?会場も近いし。」


甘えてくる次子に俺は少し考え、気分転換になると思い了承した。


「じゃ、すぐ仕度して下さい!ついでに表参道と裏原宿と竹下通りでお買い物したいんで。」


次子の笑顔を見届けて私は慌てて準備をした。次子の買い物好きは女の子独特という感じがした。俺はそこまで好きなわけでもない。というか俺が無頓着なだけなんだろうけど。


USUALLってバンドだっけ?確か次子の部屋にポスター飾ってあったような・・・・。


私はそんな事を考えつつ、私服に着替え部屋をあとにした。また外に出れば俺から私になる。無意識にそう思った。

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