imitation love
「USUALLってみんなカッコイイんですよ。みんな女の子なのに全然見えないし。」


次子は興奮しているらしく前など見えていない状態だった。今回はツアーのファイナルをSHIBUYA-AXで行うとの事だった。


原宿につき竹下通りにはいり、服を見回った。といっても女性ものはサイズが合わない。
そのせいか見る物が少ない私はしばらく上の空だったが、知らない人の手が肩に乗っていて現実に引き戻された。


「おねえちゃん一緒に向こう行かない?」


慌てて身の危険を察知した。


「いいです。」


必死に抵抗しているものの力がとっても強い。というよりも私が男なのに力がないだけなのだが。


すると声がした。


「大の大人の男がこんな通りでそんなやって恥ずかしくない訳?」


振り返ると赤紫の髪にサングラス。ライダースジャケットにギターを背負っている。
紅い唇にタバコを銜えている。


「なんだよ!このアマ!」


「殴ってもいいけど、その時はこの場のみんなが証人だけどいいの?それに顔と手は商売道具なのよ。傷つけないで欲しいわ。」


「チッ。」


すぐさま男達は退散していった。周りの人たちからは拍手が起こっていた。次子が慌ててこちらに駆け寄ってきた。


「大丈夫?!」


「うん。」


私は助けてくれた人の方へと駆け寄った。
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