imitation love
「いいよ。やり直しても。千里はだらしないから全部面倒見てやる。明日、引越ししてよ。」


涙を拭って千里にそう伝える。時が3年経ってやっと動き出した。



3年前

あたいと千里は誰もが認めるぐらい仲が良かった。結婚も秒読みだった。だけど当時の事務所の社長に「別れないとダメ」という事を言われ拒否したら無理矢理に引き剥がされた。


その時はすでにバンドもやってたしUSUALLもインディーズで少し有名になり始めた頃。あたいは引き剥がされたというのは社長が千里の下へ行き金で全てを終わらせたのだと。あたいはてっきり千里が当時は「留学するから」と言っていたのでてっきりそうなのだと思っていた。


後におとなしい直が社長の元へと行き一発殴り、「うちの大切なメンバーを悲しい涙で泣かせるような事したら例え誰であろうと許さない。うちらは今日限りでこの事務所辞める。」と文句を言って去ったそうだ。


そして、千里のもとへ直と薫ちゃんが向かい事実を確かめ合った。


春ちゃんと優貴ちゃんで設立した会社の運営もしていたと千里に知らさせる。



「すっごいみんないい人たちばっか・・・・」


千里の話を聞いて泣きそうになるのをこらえる。


「俺はただ純に切り出すタイミングがなくて半年ぐらい過ぎたんだけどな。」


「馬鹿。」


悪態をつきながらも、やっぱり千里の事が好きなんだと思った。




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