imitation love
「ありがとうございます。」


私と次子は口々にいった。


「別に気にしなくてもいいよ。じゃあ、急いでるからごめんね!」


助けてくれた人はチラリと時計を見て走って人ごみに消えてしまった。


「ネエさん。顔真っ赤だけど。」


「いや・・なんでもないわよ。」


私はしばらく平然を装う事が出来なかった。理由なんて分からなかったが、あの人の事が忘れられなかった。あのブルガリのブラックの匂いも忘れられない。


そこからしばらくしてUSUALLのライブ会場に着いた。


「みんなコスプレしてるなぁ。薫ちゃんコスすれば良かったな。そうそう、メンバーはヴォーカルは薫ちゃん。ギターは純ちゃんと直ちゃん。ベースは春奈ちゃん。ドラムは優貴ちゃん。」


次子が差すポスターには中性的な人達が写っていた。それを見つつメンバーを説明してくれた。ヴォーカルの人はいかにも綺麗な感じの人。ギターを持った二人は赤と青というイメージで、男のようだった。ベースの人はかわいい感じでドラムの人は男でも女でもない形容できないような人だった。


そして時間になり、入場した。開演時間になりメンバーが続々登場してくる。紹介してもらったメンバーを次子にもう一度教わった。ギターの純さんの時は声が黄色くなった。


ヴォーカルの薫さんが登場して最初の曲からして私はこのバンドにハマってしまった。


そして5曲を演奏していても、私は上手でかっこよくギターを弾く純さんに釘付けだった。
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