imitation love
「なんで?分かるの?」


「あのねぇ、僕はずっと見続けているからね。こう見えても。さぁ、早く行かないと明日の営業に支障でちゃうから行きなさい。」


次子は気前良く返事をして上に行ったが、どうしても純さんの事で頭がいっぱいになってしまった。その晩はずっと雑誌を読み漁っていた。純さんのインタビューは最初から全部読んでしまった。


その言葉の一つ一つに俺の胸に突き刺さるようなものがあった。


<愛って形は様々だろうけど同性でも異性でもそれは変わらないんじゃないかと思うんです。同性はダメ!っていう風潮がありますけどそれって違うんじゃないかと。それも偏見ですよね。あたしからすれば。海外では同姓同士の結婚が認められているというのになんかそんな見えないモノに縛られて生きるなんて無理じゃないかなって(笑)>


俺は今日の純さんの事がフラッシュ・バックしてしまっていた。あんなカッコイイ人はここ最近で見たことがなった。多分学生時代に見たhideさんくらいであろう。それくらいのインパクトが残っていた。


でも、いくらとはいえ純さんはこんな女男嫌いだろうし。


千里さんや翔也さんに相談しようかな・・・。


いつの間にか俺はそんな如何にも乙女な事を考えながら机の上で眠ってしまっていた。


「ネエさん。もうすぐ店開くって。起きて!」


翔也さんの命令で次子や他の女の子達が起こしに来てくれた。


「千里さん怒ってますよ~。」


仲間の真美ちゃんや佳織ちゃんがけし掛ける。


「分かった。」


俺は不機嫌な返事をした。寝起きは良くないのだ。

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