星泥棒は罪にならない
彼と唇を重ねるのは星の数ほどしたはずなのに、わたしは必ず身を堅くする。
ギュッと目を閉じ、奥歯を強く噛みしめる。
そして、すべてが唇から溶かされていくような錯覚を覚えるのだ。
気がつくと、私の左手の薬指に、小さな宝石が光る指輪があった。
「…っこれ!?」
「改めて、誕生日おめでと」
悪戯っぽく彼が笑う。
「全然気づかなかった!」
「だって、お前¨とろーん¨としてたもん。もうキスに夢中ーって感じで」
今度は意地悪く彼が笑う。
「してないよ!」
私は恥ずかしくなって彼の胸に顔を隠すようにうずめた。
「それ、さっきの星。だから…大切にしろよ。全部ひっくるめて、お前を一生大事にしてやるから。」