星泥棒は罪にならない
真夏の夜の静かな空気が好きだ。
少し湿った空気を大きく吸いながら、彼と通いなれた畦道を歩いている。
彼はダメージ加工を施されたジーンズと、背中に大きくアメリカ大陸がプリントされたTシャツを着ている。
…なんだか、センスを疑ってしまう。
私は彼の三歩後ろを歩いて、彼の背中に浮かぶ大陸を眺めながら、ここはサンフランシスコ、ロサンゼルスでここが、ニューヨーク、五大湖でシカゴ、と地名を思い出す。
ついでに、ここが小麦地帯でとうもろこし地帯、酪農、園芸、なんて学生の頃に覚えたアメリカの農業地帯まで思い出す始末。