星泥棒は罪にならない
私はゆっくりと顎を上げる。

当たり前のように彼の瞳が目の前に映る


かと思ったのだが、映ったのは彼の瞳ではなく、

顎だった。

彼も私と同じように空を見上げている。

彼は空天井に広がる満天の星を見て、その視線をゆっくりと私へ下ろした。
そして人差し指一本だけを空へ向け、目をキラキラさせながら、

確かにこう言った。


「どれがいい?」
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