-雪女郎- 雪月
第十三夜
そう・・・丁度一週間前。







「わざと、負けたな?」







「何のことでありんしょう。」







今日、碁盤を制したのは尚五郎だった。







久しぶりに雪月の口から出る、廓言葉。






「いよいよ負けてしまいましたね。」







「雪月・・・」






呼びかける尚五郎に、答えず雪月は華い続けた。







「お約束は守りんす。姐さんにお頼み申し、尚五郎さんはここに「雪月!!!」








尚五郎の大声に、雪月はやっと話すのをやめた。






二人は見つめ合った。







「分かってるんだろ?」






尚五郎が絞り出すような声で言った。
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