薔薇の欠片
彼女の家の近くに来たら目立たないように、彼女の部屋のすぐ近くの木に隠れた。
彼女が部屋に入ってきたのが足音でわかった。
そして、
電気も点けずに部屋の窓を開けた。
すぐに彼女の前に出て、
奪い去っていくつもりだった。
だけど、窓を開けた彼女は願うように呟いた。
「玲さん……」
彼女は肘を窓の枠に掛け、両手を絡ませて頭を下げた。
「来て……」
彼女の声は小さくなっていくが、
だんだんと強くなっている。
「早く……」
やめろ。
君を
壊してしまいたくなる。
……いや、結局は壊すんだ。
だけど、
この胸にある感情はなんだ。