薔薇の欠片


そうだ。


どうして彼女を選んだんだ?


彼女を選ばなければ、
こんな思いをせずにすんだのに。




“簡単に堕とせる”?


それなら、
もっと他にもいるだろう?



“お嬢様だから”?



それなら、
他の街にもいる。



何故?



何を思ったのかはわからない。

だけど、
僕は無意識のうちに立ち上がって話し始める。



「どうして吸血鬼は日の光に当たれないと思いますか?」



僕はいきなり何を言うんだ。


彼女もきっと驚いている。

しばらく経っても返事が返ってこないので名前を呼んでみる。



「憂さん?」


「えっ、あ、はい」


「聞いてました?」


「はい」



今の口振りを聞いている限り、興味が無いか、想像ができないってところだろう。



「えっと…、わかりません……」


< 136 / 201 >

この作品をシェア

pagetop