薔薇の欠片
禁忌故に光を知らず 音を知らず 愛を知らず
僕は
彼女の僕に関する記憶を消した。
そして、
朝日が出る前に彼女の屋敷に着いた。
彼女の部屋の窓を開けると、
僕はそのまま彼女をベッドに寝かせた。
そのまま、時が止まればいいと思った。
ずっと
彼女の寝顔を見ていたかった。
だけど、
そうして留まっていると
動けなくなりそうだったから、
僕は彼女の部屋の窓を閉めて地面へ降りる。
……これで、
永遠に彼女と逢うことは無い。
僕はそのまま洋館へ戻ろうとするところを、
ある声に止められる。
「待て」