薔薇の欠片




「呂依が自ら


 日の光に当たりに行ったのは



 人間になれるからだろう?」




海は頷く。




「ええ、そうよ」


「なのに、呂依は……」




海は冷たく言い放つ。




「全部が成功するわけが無いじゃない」


「…」



「成功する確率なんか1%にも満たない。

 大抵、呂依のように……


 跡形も無く溶けていってしまうわ」




あのときの光景を思い出す。


日の光を浴びた呂依が

溶けていく光景を。


それでも、

アイツは幸せそうだった。




「それでも、

 答えは決まっているようね」



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