薔薇の欠片




あのときの夢の意味がわかったよ。




「日に当たりに行く」




海は呂依が溶けてしまったとわかったときのような表情をした。




「人間になれたとしても、


 彼女が来てくれるかも

 記憶が残るのかもわからないのよ?


 ましてや、
 溶けてしまうかもしれない」




僕は涙を拭って微笑む。




「それでも、


 彼女を探しに行く」




海はふっと笑うと

悲しげに笑った。




「呂依に似ていたのは、


 彼女じゃなくて貴方だったのかしらね」




そして海は指を鳴らすと、シャツとズボンが現れた。


それはあまりにも白くて

以前の僕なら見ているのも嫌なものなはずだ。


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