薔薇の欠片
* * *
「……っ!」
はっと目が覚めた。
今までに無いくらい激しい動悸がする。
上半身だけを起こして辺りを見回す。
知らない洋館。
いや、昨日始めて知った洋館。
こんな山奥に、こんな洋館があったんだと思うくらい優雅な造りだ。
私は白いベッドの上で寝ていた。
ベッドの横で座って玲さんは寝ていた。
……私はやっと檻の中から抜け出したんだ。
嬉しいはずなのに、
不安が積もり積もってくる。
いいや、そんなこと考えては駄目だ。
願って、願って、願った状況なんだから。
私はベッド横にあったカーテンに手を伸ばす。
外はもう、明るくなり始めている。
そこで、はっと手を止める。