薔薇の欠片
彼がものすごく、
苦しそうな顔をしている。
それ以上、そんな顔しないで。
貴方が苦しいと、
私も苦しいから。
「彼は……」
そう言いかけた玲さんを私は抱きしめた。
「やめてください……」
「…」
「そんな顔、しないでください」
彼は、ごめん、と言った。
それから、私の背中に腕をまわして抱きしめ返した。
「もう少し、甘えさせて」
可愛いわがままを言う彼。
私は少し微笑んで言った。
「はい」