薔薇の欠片
何処にキスして欲しい?
「僕が君を殺しても、
君は僕を愛してくれる?」
それは夢と同じ台詞だった。
夢では、戸惑っていた私。
拒絶し続けていた。
恐いと思った。
だけど、
もう大丈夫。
彼は片頬だけ上げて笑ってみせた。
「始めからから、こうするつもりだったんだよ。
吸血鬼は本当は何も食べなくても生きていけるんだ。
ただ、暇なんだよ。
代わり映えのしない毎日。
だから、“遊び”として人を狩る」
そう冷たく言い放つ、彼を
嫌いになれないのは、なんでかな。
私を、狩ると彼は言っているのに、
今なら逃げ出せるかもしれないのに。
“やめて”と言うことができるのに。