薔薇の欠片
「綺麗事は嫌いだ……」
「綺麗事に聞こえるかもしれませんけど、これが私の答えです」
二人の間が沈黙で包まれる。
彼が私の目を見て、
私も彼の目を見る。
目は逸らさない。
だって、貴方は、ずっと
「覚悟はできてます」
「……」
だってね、そうだったんでしょ
「ずっと、淋しかったんですよね」
彼の体がぴくりと反応した。
「大丈夫です。
ずっと貴方のそばにいますから。
記憶の片隅にいますから。
だから、大丈夫です。
殺してください」