薔薇の欠片


そう聞こえたあとに、

一つの雫が私の頬に落ちた。



「やめろ! やめろ!!」



彼の瞳からも雫が落ちる。


彼の言動に、私は何も言うことができなかった。



どうして、彼は泣いてるの。

笑って欲しいのに。


何度も、何度も、彼はやめろ、やめろ、と繰り返す。


雫も、次々に溢れては私の頬をぬらす。



「全部……」



彼は、そう呟いた。



「全部、

 君が悪いんだ」



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