薔薇の欠片
それが、彼の本音だった。
「全部、君が悪いんだ。
君が、あまりに僕を照らすから。
太陽のように照らすから。
ふわり、ふわりと笑うから。
そんな、何も知らないような
汚れた世界を知らないような心を持ってるから。
そんな、そんな……
君だから……
君が悪いんだ。
僕に出会った、君が悪いんだ……」
私は、
彼に捕まれていた右手首をそっとすり抜けて
その手で彼の頬に触れた。
「言いたいのは、
それだけですか?」
彼は、濡れた瞳で微笑んで見せた。
それは、今までの作り物の笑顔じゃなく
心から、見せる彼の笑顔だった。