薔薇の欠片


思い出そうとして、再び頭痛が私を襲った。


思い出そうとするたびに、頭が痛くなるのは気のせいかしらと思いながら睡魔に襲われ私は眠りに落ちた。




* * *




「憂、高藤さんがいらしてるわよ」



夕方頃に目が覚めると、下の階から母の声が聞こえた。


私はワンピースに着替えて、下の階に降りた。


玄関のほうでは母と高藤さんが親しげに話していた。




……何も、思い出せない。


高藤さんと、何かがあった気がするけどそれも思い出すことができない。



親しげに話していた高藤さんが私に気づいたようで私の名前を呼ぶ。



「憂さん」


「あらあら、それでは若いお二人で」



母は気を使って、リビングへと帰っていく。


私は高藤さんの前に立ち、目線をあわさずに小さな声で言った。



「あの……私……」


「外へ、出ましょうか」



高藤さんはそんな私の言葉をさえぎるように手をとって、外へ連れ出した。


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